新仁義なき戦い

1974年、日本、深作欣二監督作

広島・呉の山守組では今日も内部抗争が繰り広げられていた。

https://www.youtube.com/watch?v=xR7IiGLx3k0

仁義なき戦い』でお馴染みの山守組の内部抗争を描いたお話です。が、菅原文太は広能昌三ではなく別の人物。そして若頭に今まで出演していなかった若山富三郎が出てくる。でも組長は変わらず金子信雄だし田中邦衛は組長に忠実な部下として登場する。スターウォーズ・シリーズで言えば、ダースベイダーはそのまま登場するけど、マーク・ハミルハリソン・フォードもキャリー・フィッシャも別の役を演じているという感じで、配役と登場人物の辻褄はどうでもいいと割り切ってる。この時代の日本映画の自由奔放さが開放されている。スターウォーズ・シリーズなんてあんなに辻褄を合せるのに苦労しているのに。

山守組若頭の若山富三郎が刑務所で服役している間に、金子信雄若山富三郎の女に「わしの女になれ」と強要する場面がある。金子曰く「あいつは刑務所から出てきても一銭の金も持ってない、それに比べてわしは金があるぞ」と言って股間から札束を見せびらかす。金子信雄の品性下劣が爆発した場面であり、あの外道だけは許せないと思わせる最悪で最高のシーンだと思う。金子信雄だけは何があっても許せない。

脚本は『仁義なき戦い』シリーズの笠原和夫に代わって神波史男と荒井美三雄が手掛けている。監督が同じで脚本が変わって、テンポがちょっと緩くなっているのは脚本によるものだと言わざるを得ない。脚本っていかに大事なものかが分かる。