仁義なき戦い 広島死闘編

1973年、日本、深作欣二監督作

昭和25年の広島、村岡組と大友連合が覇を争っていた。大友勝利は村岡の勢力が伸びることに反発して無法を繰り返し、その覇権争いの中で村岡組の下部組員である山中は次々と殺人を犯すことになる。

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仁義なき戦いの2作目。この映画の主人公は、親分と組を信じて殺しを重ねる悲しき鉄砲玉の山中を演じる北大路欣也だと思いますが、北大路欣也も素晴らしいけれど大友勝利を演じた千葉真一が凄過ぎるのです。無法の限り、超悪党、人でなし、極道、最大級に悪の形容詞で飾り付けても足りないくらい恐ろしいのです。一番恐ろしいのは木に吊るした川谷拓三を射撃練習の的にする場面ですが、心から楽しそうに人を嬲り殺すのです。当初は北大路欣也千葉真一の配役は逆だったそうですが、絶対こっちの方が正解だと思う。千葉真一の発する無限の負のパワーがどぎつ過ぎるから。
北大路欣也が、上層部にはいいように使われているにも関わらず愚直に親分を信じるストイックな役柄なのに対し、欲望と行動に何ひとつブレーキがかからない男である千葉真一という対比があるので余計にそう思わせられます。

終盤、北大路欣也が警察に追われる場面では、日本家屋の連なる暗い路地を逃げ隠れする映像が続き、こういう場面や質感は日本映画でしか作れない情感だなあと感心したりしました。