仁義なき戦い

1973年、日本、深作欣二監督作

太平洋戦争から復員した男が広島ヤクザの世界で生き抜くお話。

www.youtube.com名作なので粗筋は必要ないとは思いますが、この映画では何が描かれているかというと菅原文太の親分である山守の親分が悪い。山守の親分を演じた金子信雄が悪い。あいつだけは許せん。あんな外道は世界中探してもおらんと思う。わしゃーカタギじゃけどあんなんが目の前におったら必ずたまとっちゃる。それくらい金子信雄の卑怯さは涙が滲むほど悪い。ほんまあいつだけはゆるせん。

ハリウッド映画のリズムに慣れた現代の我々の身にすれば、この映画のリズムは失われた民族の奏でる音楽のように異国のリズムにあふれてる。
何度も観られる映画と何度も観ないとよく分からない映画は違けれど、現代の我々にすればこの映画は後者なのだと思う。群像劇だけれど登場人物が多く、そのもつれた糸のような関係は、よく整理された脚本で分かり易くそれでいて感情移入し易く、観客に分かり易く作られた現代の映画からすれば分かり難いといっても言い過ぎではない。

しかしその粗削りさが良い。1973年の日本映画で最新の表現がこれだったという、時代の、日本映画界の記録としてとても優れている。そしてそこに描かれている街の光景や習俗も時代を記録している。それは当時の最新だからこそなしえたもので、懐古にまみれた表現が後世まで残らないことを現している。