山ノ内純太郎によるノイズ・パンクユニット、ザ・ゲロゲリゲゲゲの15年ぶりの新アルバム。
ノイズ、パンクを横断して過激なパフォーマンスで話題だったゲロゲリゲゲゲ。ライブは見たことないです。そのユニット名や『Senzuri Champion』といった作品名でどんな音楽か想像してもらえると思う。作品も非常に多くて全ては追いかけられない。音沙汰を聞かなくなって暫く経つが、その間に自殺して死んだなんて話も聞こえてきた。でもどっこい生きている。
そこに収録されているのは嘲りの籠った笑い声、踏切の信号機をバックにくだをまく酔っ払いの独白、インダストリアル、アンビエント、シューゲイザー、ノイズ。
世の中の言説が
明るいもの、綺麗なもの、清潔なもの、ポジティブ、前向き、改善、改良、進歩、素敵、美しい、清楚、純真、努力、成功、効率、肯定、建設、積極的、社交、良好な人間関係、友情、団結、愛校精神、喜び、幸福、癒し、和み、優しさ、シンプルライフ、エコロジー、公明正大、誠実、快適、使いやすい、手に馴染む、甘い、美味しい、健康、白、勤勉、国際化、コストパフォーマンス、日常ほのぼの系、1万PV達成、ブログでお小遣い稼ぎ、嫁が意外と可愛い、あなたの為を思って言ってるのよ、最先端、トレンド、バイラルメディア、ファッショナブル、高尚、高学歴、優秀、愛、恋、花、蝶、
などに収束してあらゆるネガティブなものを排除して覆い尽くして隠して存在しないものであるかのように振る舞っている中、
本作は醜い蛾も毒々しい芋虫もこの世の中に存在していることを提示している。茫漠とした悲しみ、どうしようもないやり切れなさ、言いようのない空しさがその音空間に込められている。
世界中を消毒して回りたいような奴は聴くな！
