六つの星星/川上未映子 著
小説家の川上未映子による科学者、文筆家、哲学者ら6人との対談集。
「プロレス」という言葉には、予めストーリーがある、みたいな含意があると思うのですが、別の意味として、ただ相手をねじ伏せればいいというような格闘技とは違って、相手の技を引き出してエンターテイメントとして盛り上げて闘いを見せるという意味もあると思うのです。それは真剣勝負と格闘ショーとの間を補完する言葉なのだと思います。そういう意味で本書は「プロレス」のような本でした。
対談ってそれぞれの話者にはそれぞれの専門領域があるわけで、それをうまく引き出した上で対談者の考えとぶつかったり融和したりして新たな気付きや考え方が生まれるという、賢者であっても独りで考えたところでは辿り着けない場所に到達するというところが面白いと思うのです。そういう意味で非常にプロレス的でした。
しかし小説家という人はやっぱり頭の良い人ですね。本書に出てくるような科学者や哲学者を前にして対等に話せるってのはやっぱり凄いと思う。自分が同じ立場に立ったとして、こんなに色んな話を聞きだしたりできないと思う。感心するばかりです。