小説家、西加奈子さんの食に纏わる随筆集。
西加奈子さんの作品は2,3作読んだことがあるはず。あまり一人の作家を追い掛けて読んだりしない情の薄い人間なので読んでいないものも多いのだが、それでも良い印象を持っている作家さんの一人です。西さんは海外生まれではあるけれど大阪育ちの方なのでそこら辺のシンパシーもあるのだと思います。
少し前にこんな記事が話題になってました。
ウチが京都弁でブログを書かへん理由 - あざなえるなわのごとし
関西弁で記事を書くことが伝わり難い、という内容ですけど、確かに関西弁で書いても意味が通じにくい。同じ関西人にもニュアンスは伝わり難いし、日本中の人が読むとなったら本意も伝わらない。というか読み難いし。関西以外の人には読むのが至難というものになってしまう。あとは関西弁でかくとなんだか嘘っぽくなるんですよね。自分が書いてる関西弁が合ってるのかどうか分からなくなる。どの方言でも同じ感じはあるんじゃないでしょうか。
本作を読むと西さんの関西弁の出し方が上手いんですよね。例えば
昔の自分がこのお皿を、はい、食べなさい、と母に出されていたら、何これ、食うもんないやんけ!はよピザ持って来い! と怒っていたと思うのだ。
みたいな感じで、心の声の部分だけが関西弁になってる。本音だとか思わず抱いてしまった気持ちという部分はネイティブの言葉になってるのは面白いと思うし、上手いと思う。
当然、日本中に流通する書物が全編関西弁で書けるわけもないけれど、こんな風にチラ見せするのはアリだなあ。あと西さんの反応が面白いんですよね。こういう人柄も作家の才能の大きな部分だろうなと思う。