すべて真夜中の恋人たち/川上未映子 著

フリーの校閲者として働く30代の独りの女性が、カルチャーセンターで初老の高校教師と出会う。人付き合いが苦手な女性が少しずつ恋に落ちる様を描く恋愛小説。

すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)
 

 著名な漫才師の方が本作を「言葉の芸術」と評されていて、常々、美しい文章とはどんなものなのだろうかと思っているので、読んでみました。読んでみて、美しい文章とは何なのかが分かったかというと、それは分からない。唯一分かるのは

“光に、さわることってできるんですか、とわたしはそのひとかけらをみつめながら小さな声できいた。できているともいえますし、できていないともいえます、と三束さんはしずかな声で言った。”

というように漢字で書ける言葉をひらがなで表している個所が多い。それが、全体にまろやかで優しい印象を与えてる気がします。それくらいしか分かりません。

文学部の人とかはこういう文章を読んで、分解、分析が出来るのでしょうか。こっちは歯車や鉄やモーターのことしか勉強していないのでその辺の能力は皆無です。文章のことを勉強した人にはどんな風にこの小説が読めるのでしょうか。

恋愛小説であると共に、もう一面は都市生活者の孤独の話でもあります。自分としてはそちらの面に感銘を受けました。