異人たちとの夏

1988年、日本、大林宣彦監督作
離婚して一人になった中年男性の脚本家が、ふらりと生れ故郷の浅草に立ち寄るとそこには幼い頃に死んだはずの父親と母親がいた。
原作は山田太一の同名小説。

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原作小説は随分前に読んでいて物語は知ってるはずなのにやっぱり泣けてしまいました。
両親、若しくは肉親を亡くした人にとっては、もう一度逢いたいという気持ちは決して叶わない望みではあるけれど、もし会えたらという夢想をしたことは誰にでもあると思うのです。そんなことを考えたことがある人には反則級に泣かせる話だと思います。
ただ一緒に食事をしたりお酒を飲んだり、その間に交わされる何気ない会話がとても大事なことだというのを教えてくれます。

夏の日の夕暮の茜色に染まった文化住宅の一室に住む両親という画が感傷的で、下町の情景と共に郷愁を誘う絵作りです。両親を演じるのは片岡鶴太郎秋吉久美子片岡鶴太郎の江戸っ子な寿司職人のキャラクターと共に、秋吉久美子が若く美しくそれでいて母親でありながら無邪気な母親を演じていて、彼女でなかったらこの映画の魅力は随分と損なわれるんじゃないかと思えるほど素敵です。

ほぼ20年前の映画で、登場人物のファッションなんかに時代は感じるものの、大人向けのファンタジーとして時代を越えて共感出来るテーマの作品だと思います。

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