刑務所の中 - ８月～１２月

2002年、日本、崔洋一監督作
刑務所の中の生活を淡々と描いた作品。原作は花輪和一の同名漫画。

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原作は作者が服役した経験を描く実録漫画。刑務所の中という非日常世界を忠実に描く画力と作者の視点が魅力的でした。この漫画をどう映画で描くのかという興味があって観てみました。

映画が始まって原作と同じ話が描かれるのをみて「これではだめではないのかしらん」と思っていたけれど、独特のテンポというかムードというか、そういうものに乗せられてしまいました。音楽はクラシック音楽を使っていて、これも独特のムードを創り出すのに一役かっていたと思います。
詩的という言葉があるけれど、この映画はある意味で詩的なのではないでしょうか。とても芸術的な詩ではないけれど、滑稽譚としての詩情というようなものがあるような気がします。でも何か得るものがあるかと言えば、特にはない。いい意味で。詩って実利があったりしないものでしょう？
受刑者が甘い物に飢えているシーンを見て、菓子を食べたくなる効果はあると思います。

俳優陣が個性派揃いでした。主人公に山崎努、同房の受刑者に香川照之、田口トモロヲ、松重豊、村松利史。端役に大杉漣、木下ほうか、窪塚洋介、椎名桔平など。意外に豪華ですよね。