なんとかの強者

本屋で『新潮文庫の100冊』という販促用の小冊子を貰ってパラパラと見ていたら、その中に山田詠美の『ぼくは勉強ができない』が載っていた。あーこれやっぱり人気のある作品なんだなあと思って。
あの作品を読んで全くもって苛立たしかったのは、あれって恋愛の強者が自説をぶってるだけの作品でしょう。山田詠美の恋愛強者における恋愛肯定理論が書いてあるだけでしょう。でも皆そういうのが好きなのだなあ。強者に憧れる気持ちが理解出来ない。皆あんな風になりたいと思ってるのでしょうか。そうなのかなあ。

昨日観た『ウルフ・オブ・ウォルストリート』観た時も思ったけど、あーいう金儲けの強者に憧れる人って多いでしょう?堀江貴文にあこがれるような人。堀江じゃなくても起業家だとか財界の名士みたいなののお言葉をありがたがる人って一定数居ると思うんだけどその気持ちが分からない。皆があんな風になれるわけないと思うんだけど憧れるのかなぁ。

少し前に戦国武将の話から「歴史上の人物で誰が好き?」って言われてすぐ返答出来なかったけど、戦国武将なんてその当時の圧政者でしょう?好きな人っていないわ。そんなのに憧れない。名もなく死んでいった雑兵の方が気になるわ。

強い者に憧れるという気持ちがあんまりよく分からない。一般庶民なんてどちらかというと弱者でしょう。弱者である認識がないのかな、自分のことを普通だとか一般的だと思ってる人達って。あーいう強者という人達は己の欲望を充たす為に他人を犠牲にすることを躊躇しない人達でしょう?普通の人間なんて犠牲にされる側だと思うんだけど、自分がされて嫌なことをする人に憧れを抱くというその心性が理解出来ないわ。なんで強い人に憧れたり尊敬したり出来るの?弱者に共感を覚えないの?

俺は音楽が好きなので自分が好きな音楽を作り出せる人は好きだし尊敬する。その人が音楽以外でもどんなこと考えてるかは気になる。それと同じかなと思うけど、俺は音楽というものを作り出す能力が高いという部分でその人を尊敬しているのであって、その音楽が好きなんだ。好きな音楽家の作るものは全て受け入れるというような度量はないわ。好きな音楽家の作ったものでも好きでないものはあるし、合わないものはある。そういう盲信みたいなのはないわ。個人に対する信仰のような気持ちは全くないわ。

みんなホント強い人達が好きだよね。なんで?