仁義なき戦い 代理戦争

1973年、日本、深作欣二監督作

昭和35年の広島、村岡組の跡目争いを切っ掛けに広島中を巻き込んだヤクザ同士の抗争が勃発する。

www.youtube.com

抗争の部分もあるが、物語を駆動するのは勢力を背景にした権謀術策の駆け引きで、その過程で強硬派や裏切りや付和雷同の態度を示す者など、様々な人間模様というか群像劇が展開される。『仁義なき戦い』のシリーズというのはそういう映画だと言ってしまえばそうだけれど、本作はそういう権力者同士の駆け引きの部分が特に強く描かれていると思う。

こういうのってずっと人気があるジャンルだと思う。企業小説などの派閥抗争の話とか戦国時代の武将が味方になったり敵になったりするものも同じ。小説や歴史だけでなくリアルで会社の中で同じようなことを嬉々としてやってる人たちもいる。島耕作とかそんな漫画でしょう?

組織対組織の戦い、その裏で繰り広げられる密約と裏切りみたいなの。なんでみんなそういうのが好きなんでしょうね。どんな組織にでもあんまり強く関わりたいと思わないというか、滅私奉公的に組織に尽くすのがとても嫌なのでそういうことに魅力を感じる気持ちがよく分からない。

終盤、渡瀬恒彦が対立組織の組長を襲うシーンは色合いが昔の香港映画のようで美しい。