ライフ・アクアティック

 2004年、米国、ウエス・アンダーソン監督作

海洋探査隊を率いる男たちはその活動を記録映画として公開していたが、その興行収入はふるわないもので次作の資金繰りにも困る始末だった。記録映画の前作で隊員を鮫(?)に襲われ失った隊員たちは復讐と次回作の製作に挑むが。

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エス・アンダーソン監督の名前を意識したのは人形アニメの『ファンタスティックMr.FOX』と『犬ヶ島』からだった。人形アニメが大好きなので。なんとなく、以前の監督作も観てみたいと思っていて、やっと観たのが本作ですが、感想は、なんと愛らしい映画、という感じ。

一体どういうことからこういう映画を撮ろうと思うのだろうか。船の断面のセットや様々なロケーションなどを観ていると決してお金がかかっていない映画じゃない。でも派手なアクションや度肝をぬくスペクタクルシーンがあるわけじゃなく、全編どことなく間抜けな感じで物語は進む。そんな映画ってそんなに無いと思う。ここにお金かかってまっせ、という如何にもな映画は沢山あるけれど、さりげなく、というか、こんなところに?というところが凝っている映画もそうないと思う。

出演者にしても、悪魔のように恐ろしいウイレム・デフォーをあんなに間抜けな男に起用してしまうなんて悪魔のように恐ろしい配役だとしかいいようがない。

全編が間抜け、というか優しい。基本的に悪い人が出て来ない。みんなちょっと抜けてる。そういう意味では喜劇だと思うが、観ている間その間抜けさが身につまされて色んなことを考えてしまう。人生というのは思うようにいかないものだよな、みたいなことを。

海の中の生物の描写や船の断面セットを登場人物が移動する場面など、後に人形アニメーションを作ることになる要素が色々と垣間見える。

観終わった後とても良い気分になる傑作でした。