ダンス ウィズ ミー

2019年、日本、矢口史靖監督作

遊園地で、姪が「ミュージカルが上手になりたい」と催眠術をかけてもらうが、その横で付き添っていた主人公がかけられてしまい、会社でレストランで音楽が鳴ると歌とダンスが止まらなくなり大失態を続ける。かくなる上は、あの時の催眠術師を探しだして催眠を解いてもらうしかないと催眠術師のサクラを演じていた女性と共に彼を追う旅を始める。

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主人公の三吉彩花が美しい。彼女が画面に出ているのをずっと見ていたいくらい。最初は一流企業のOLでちょっと高飛車なところがあるけれど、サクラのやしろ優と催眠術師を車で追ううちに庶民的な女性の地が出てくる。が、もうとにかく美しいので何をやっても許される、というか、素敵。
そして主人公と催眠術師を追う旅に同行するのが、やしろ優。駄目人間っぷりが愛らしい。ボロいダイハツのoptiという軽自動車に乗って北海道まで催眠術師を追い掛けるのだが、その車のダッシュボードはごみだらけで、彼女の性格を端的に表していると思う。
催眠術師の宝田明は流石の感じで、胡散臭くて借金まみれで、それでいて実は腕前があるというところが妙に味がある。
俳優陣がばっちりはまってる感じがあってずっと楽しい。

物語の運びは、そこでそうなる?みたいなところは沢山あるけれど、音楽劇で喜劇なので全部OK。細かいことは言いっこなしと思わせる力があると思う。
矢口監督の劇場第一作である『裸足のピクニック』は少女が次から次にトラブルに巻き込まれるという喜劇映画だったけれど、あの映画も結構滅茶苦茶な映画だった。でもその滅茶苦茶具合が面白くて成立してた覚えがある。
本作は滅茶苦茶とは言わないけれど、漫画やん、と思わせるところはあって、でもミュージカルなんてファンタジーみたいなもんだからこれでいいのだと納得させる力がある。

途中からは催眠術師の公演を二人が追うというロードムービーになっていて旅情もあるのです。本州から札幌への青函連絡船が岸壁を離れる場面がとても印象的だった。

でもですね、やっぱり、この映画は三吉彩花の映画だと思う。彼女がスクリーンの中で躍動しているのを愛でる映画だと思う。こういう気持ち良く楽しい映画を観るとしばらく気分が良くて映画ってそういう効用があると思うんです。