ザ・ファブル

2019年、日本、江口カン監督作

派手な仕事を終えた殺し屋は、1年間は大人しくしていろとボスに言われ大阪で普通の暮らしを始めるが、トラブルに巻き込まれヤクザ相手に大立ち回りを演じることになる。

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日本映画を観る時には、ハリウッド映画のような巨額の予算が投じられていないということを予め了解した上で観賞している。なので、そこはリアルではないのでは?とか、脚本が甘いのでは?とか、人物描写に奥行きが感じられないけどとか、CGが、というようないちゃもんをつけても仕方ないと思ってるのです。同じ映画料金払ってるのだからと思わないでもないけれど、ちょっと甘い目で映画を観てる。
でも俳優の演技というのは日本映画の方が分かる。洋画というのは異国のお話で、一種ファンタジーのような赴きがあるのと、言葉も違うし、実生活でも身ぶり手ぶり、リアクションの仕方も違うので俳優の演技が上手いとか下手とかいうのはあんまり分かんない。たぶんみんな上手なんだとは思うけれど。

本作でいくと主演の岡田准一はアクション俳優としてもコミカルな部分の演技でも文句なし。残念なのは最後のアクションシーンでは岡田准一演じるファブルは覆面をしているのだけれど、あれは覆面なしで出来なかったのか。謎の殺し屋という設定なので正体を知られない為に覆面をしていなければならないけれど、せっかく主演俳優がアクションシーンをこなしているのだから顔を見せたままやった方が良かったんじゃないか。お話の都合上難しいのは分かるけど。

それと女優陣2人がとても良かった。たった二人しか女性の出て来ない映画でしたが、ファブルの相棒役の木村文乃さんがとても良かった。特に目立った活躍シーンというものはなかったのだけれど、映画の中の登場人物を演じている女優ではなく、映画の中にいる人のように見えた。どこがどうとは言えないのだけれど凄い好きになった。もう一人の山本美月さんはCMなどで見覚えのある方ですが、関西弁が結構上手くて関西出身の方かなと思ったら福岡出身らしいです。でもまあ凄い美人。

あとね、柳楽優弥。凄い怪演。刑務所から出所したばかりの、ちょっとネジの外れたヤクザを演じているのですが、めちゃ恐い。恐いけどちょっと愛らしい。そしてキレっぷりが半端じゃない。福士蒼壮汰もこれまたネジのはずれた殺し屋を演じているのですが、ネジの外れ方が格段に違う。柳楽優弥の圧勝です。

その他、殺し屋のボスを演じる佐藤浩一がやっぱり渋かったり、光石研の親分がでてきたり、ファブルのバイト先の社長を演じる佐藤二朗が妙に味があったりしてなかなかに俳優陣で楽しませてもらった映画でした。