アベノミクスによろしく/明石順平 著

アベノミクスに関する批判的解説本。 

 
残念ながら経済に関する文章を読んでその真偽を判断する能力がない。経済評論家などのお話を聞いてもそれが理論的におかしいとか現状認識が間違っている、なんて判断を下すことができない。なので彼等の話はどれもこれも尤もらしく聞こえてしまう。
ニュースで「年金の運用益が数兆円」と伝えられれば「へーそうなのか」と思う程度でしかない。

本書はアベノミクスと言われる現在の政権の経済政策に対して批判的な内容の本です。前述のように経済の話の真偽を見極める眼力がないので本書の内容を鵜呑みしてよいものかという思いもある。しかしここに書かれていることが本当ならちょっと恐ろしいですよね、という感じがする。

年金の運用については、運用先の比率が変更され日本株での運用が大きく拡大されたことが書いてある。これによって公金が株式市場に大きく流れ込み、現在のような株価に押し上げたことが解説されている。
運用益についても買い付けた時の価格よりも株価が上がったことによる含み益であり、その株を売却して利益が確定したものではないことが書いてある。
そしてGDPについても算出方法が改定されたことにより数値がよく見えるだけで実質的にはそれほど上がっていないということらしい。全部知らなかった。

ここに書かれていることはどのくらい本当なのだろうか。経済評論家という人達の言うことは誰も彼も己の立場から発言しているように見えて信用できない。しかしこのような政策を続けていても買った株はいつかは売らなければ利益は確定しないし、売却すれば株価を押し上げていた公金が市場から去り株価は下がるのではないだろうか。そんなことはないのだろうか。
もしここに書かれていることが本当なら現政権の後始末なんて誰もしたがらないのではないだろうか。安倍総理が長く政権を維持しているのはそういう理由なんじゃないかしらとさえ思ってしまう。