大阪的/津村記久子・江弘毅 著

大阪在住の作家、津村記久子さんとMeetsRegionalの元編集長、江弘毅さんが語る大阪について。

大阪的 (コーヒーと一冊)

大阪的 (コーヒーと一冊)

 

 お二人の対談があっちに転がったりこっちに転がりったりしてとても面白かった。結論なんてものは必要ではないけれど、強引にまとめるとするならお二人共が仰っているのは「大阪は地方」ということではないだろうか。
津村さんはサッカーJ2をあちこちに観に行くことで地方のチーム同士の戦いの場所には中央(東京)がそこにないことを面白がっており、対する江さんは岸和田出身らしく、だんじりも中央なんてなく各町で好きにやってると仰る。そしてそれが良いということでお二人は同意していると思われる。対談の中で江さんが

それが、「大阪好っきやねん」が鬱陶しくて、「チカンアカン」のポスターはいい、みたいな。

と言うと津村さんも

うん、そっちはいい。難しいな、どう違うのかなかなか説明できないですけどね。

と言う。この感覚は分かる。「好っきやねん大阪」みたいな台詞を聞くとさぶいぼでるから。「大阪?好きやけど?」くらいのテンションでなぜいられないのか。
本書に書かれてるわけではないが、大阪は粉もん文化だからたこ焼きとお好み焼き!みたいなごり推しも嫌いだし、大阪人は会話が面白い、みたいなのも好きじゃない。そんな人が作ったテンプレートにわざわざ自分をはめこんでいかなくてもいいと思うけど。先般、大阪での万博開催をプレゼンする為にバカの松井知事とアホの吉村市長が海外に行ったらしいが、豹柄のおばちゃんみたいなものを推していたらしい。ダサい。心底ダサい。情けない。

大阪ってやっぱり都会で、メディアもあるし文化と歴史もあってかつては日本で2番目の都市だったという誇りもあるからから対東京みたいな意識があると思うんだけれど、日本で関東圏以外の場所はみんな地方でしょう?大阪は地方の中では大きな都市なんだから地方の代表くらいの気持ちでいないと。橋下徹は大嫌いだけど彼が府知事の時は地方の代表として中央にモノ申すという場面も多少はあった。あれは少し評価してる。でもあいつヘタレやから中央と闘っても勝てないとみて仮想敵として東京と闘うことは止めたよね。で、誰と闘ったかというと府庁や市役所の公務員や在阪メディアと闘ってみせるというプロレス。ホントだめだ。

大阪都構想なんてのも、もう一つの中央に成りたがってるだけなんですよね。そういうのはもう止めて欲しい。無駄に住民投票とかしていらん。何回やるねん。アホですわ。地方として発言していきましょうよ。地方なんだから。

造本がとても可愛い本でした。ミシマ社という会社から出てるんだけど京都に支社があるというのも好感。