ワイルド・スピード ICE BREAK

2017年、米国、 F・ゲイリー・グレイ監督

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やり過ぎなんじゃないでしょうか。

前作『SKY MISSION』から秘密組織の別働隊みたいな扱いになってきて、アウトローから公権力側になってるんですよね。なんだか初期シリーズにあったやさぐれ感が薄くなってるんです。全部カート・ラッセルが悪いと思います。カートのせい。この人大好きだけどリアルさという意味では向いてないんじゃないでしょうか。カート・ラッセルが出てくると現実の世界が舞台のような気がしないから。『NY1997』のイメージが強過ぎるのかも知れんけど。

対して、前作で悪役として出て来たジェイソン・ステイサムが良い味出してます。この人が出てくるシーンは何だか心躍るものがある。終盤の飛行機の中での大立ち回りもそこここにギャグが埋め込まれていて英国紳士だなーと思います。

全体的に車で追いかけっこしなければならない必然性が少ないんじゃないでしょうかね。ワイスピシリーズはカーアクションの映画なわけで、カーチェイスをするにはそれなりの理由がいる。軍隊みたいな組織の外注をやってることになってるんだからヘリでも飛行機でも登場させられるわけで、それを車で追わないといけない必然性みたいなのは感じさせて欲しいのです。なんで車で追っかけるの?ヘリ出せばいいやん、と思ったら負け。

それでもNY市街でのカーチェイスは見所満載だし、雪原を走るランボルギーニという異様な絵柄は感動的でもある。でもカーチェイスはやっぱり市街地でやるから面白いと思うんですよね。悪くないけど。

このシリーズ、最後の場面で次回作に繋がる場面がちらりと明かさせる、というのがお楽しみなのですが、前作ではそれがなかった。今作ではどうなのかとエンドタイトルが始まってもお客さんが誰も席を立たなかったのはそれが有るかもしれないという期待だったと思うのだけど、その期待は裏切られたのでした。