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スピード/石丸元章 著

読書

取材と称して覚醒剤の世界を克明に記す薬物体験記

SPEEDスピード

SPEEDスピード

 

  覚醒剤その他にまつわる薬物の実録体験記なんですけど、その圧力が凄いんですよね。原稿用紙にペンで書いてたらペン先が紙を4,5枚突きぬけながら書いてるんじゃないかと思うくらいの圧力。
 全編に渡って高エネルギーを発散していて、無闇と元気で無茶苦茶前向きで無謀に進歩的。スポーツカーの速さじゃなくて驀進するダンプカーくらいのトルクを感じる。
ちょっと引用すると

スピードなしじゃ、喜ぶことも、悲しむことも、怒ることも、不安になることも、安心することも、興奮することも、感じることも、そして、愛することもできやしない。泣くことも、嫌いになることも、何も!!何も!!何もできやしない!!!!!!!! でもいいじゃないか、スピードがあるんだから!!!!!! スピードさえあればいいじゃないか!!!! オレはいつか、致死量に達するスピードを一度に射ちこんで、恍惚のうちに痙攣して死んでみたい。

他にも、クラブで薬物を使用している場面では

オレ達は音にシビレに行くんだ!!音響が音圧が、音感が、音が欲しいんだ、音が!!!!!!!!!! 音!!!!!!!!!!
 デカイ音を用意してくれ!!東京ドーム用の巨大なサウンドシステムを6畳一間に押し込んだ巨大で強大、絶大で絶対な“音”でオレを支配して欲しいんだ!!
 耳なんていらない!!鼓膜も三半規管もうずまき管も!!何もなくても身体で音を幻聴ちゃうような濃厚で重々しい、骨にメリ込んでくる音が欲しい!!!!!!

という感じです。“骨にメリ込んでくる音”なんて表現は最高だと思います。

文章の魅力って文章作法だとか文法だとか修辞だとか色々言っても最終的にはそこから発散される熱量だと思うんです。文章を通して滲みだすそのエネルギーの大きさに魅かれるかどうかじゃないでしょうか。良い文章というのは高エネルギー発光体みたいなものじゃないでしょうかね。
どんなことでも言いたいことがある人の文章って熱意が感じられて自然と惹きつけられるもので、それは今日見た映画、みたいな感想文でもそうだし、自分の好きなことだったり、仕事のことだったり、社会に対する意見だったり、何かしらの強い動機があると文章から放たれる何かがある。
ただ文章の技巧を否定はしないんです。ある程度は必要だとは思う。何言ってるか分からないようだと読んでられないから。滅茶苦茶でも許されるのはバロウズくらいじゃないでしょうか。あれがギリだと思う。でもあの人もジャンキーだし。
文章がちゃんと書けたらあとは熱量の勝負じゃないでしょうか。どれぐらいのエネルギーを発散しているか、発光しているかでその魅力は決まるような気がする。その眩しさに読者が蛾のようにひきつけられるんじゃないかなあ。

本作は薬物の推進力で増幅した精神波が凄まじいエネルギーを放つ異形の一冊でした。全編にわたってサイケデリック

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