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ルック・オブ・サイレンス

映画

2014年、デンマーク,インドネシア,ノルウェー,フィンランド,イギリス
ジョシュア・オッペンハイマー監督作

1965年にインドネシアで起こった9月30日事件を発端として軍が政治の実権を握り、共産主義者とその嫌疑がかけられた者は虐殺された。その虐殺は軍の下でプレマンと呼ばれるやくざや民兵という民間人が行ったものだった。彼等は今も罪に問われず被害者の隣人として平然と暮らしている。
虐殺事件の被害者遺族の男性が加害者に会って話を聞きに行く姿を捉えることで事件の姿を描き出そうとするドキュメンタリー作品。

www.youtube.com前作『アクト・オブ・キリング』の続編となる作品です。前作は、殺人者たちがその行為を自ら実演する姿を撮るという捻じれた構造の映画でしたが、本作は被害者が加害者と対面するという構造で、これ自体はそれほど複雑な構造ではありません。が、直接対面するという緊張感は否が応にもある。ただし、被害者遺族が声高に加害者を問い詰めるというものではなく、ただひたすら落ち着いて静寂の中で会話が繰り広げられるという光景が記録されています。

加害者達は「もう忘れられようとしているのに蒸し返すな」とか「傷口を広げるな」なんて言いますが、これは歴史問題でどこの国でもあるのではないでしょうか。我々の国だってアジアの国へ侵出したことでは加害者だし原爆投下では被害者です。お隣の国に歴史問題を取り上げられた時に同じ台詞を吐く日本人は沢山いると思います。アメリカ人が原爆投下について同じ台詞を吐いたらどんな気持ちがするでしょうか。インドネシアの国内問題ではなく、どこの国でも起こり得る集団となった人間の恐ろしさを感じます。

ほぼ、というか殆ど(もしかして全く?)音楽がない映画でした。「サイレンス」とタイトルに冠していることからも分かるように静寂の中での光景、会話、風景が描かれます。その描き方は詩的で、主張を押さえて無駄な情報を省くことで観客に思考を促しているように感じました。
前作同様、映像が美しいです。それは無理に美しい映像を作りだすのではなく、日常と現代がしっかりと描かれているという意味で美しいと思います。美しさと残酷さを併せ持った稀有な映画です。

作品の詳細な解説は是非こちらを

dayslikemosaic.hateblo.jp

前作『アクト・オブ・キリング』の感想文

augtodec.hatenablog.com

 

ルック・オブ・サイレンス DVD

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