インサイド・ヘッド

2015年、米国、ピート・ドクター/ロニー・デル・カルメン監督
ミネソタに暮らす女の子、ライリーには生れた時から頭の中にヨロコビ、カナシミ、ムカムカ、ビビリ、イカリの5人の「感情」がいて、彼等は頭の中の司令部でライリーと共に生きていた。11歳になったライリーはサンフランシスコに引越すことになったが、環境の変化で揺れる心が事故となり、思い出の球と一緒にヨロコビとカナシミは司令部から弾きだされてしまう。二人はなんとか司令部に戻ろうとするが。

www.youtube.com泣いてまうやろ。こんなん見せられたら泣いてまうに決まってるやろ。大人を泣かせよ思てるやろピクサー。もうボロ泣きですわ。

完全に大人を泣かせにかかってきてるピクサーですが、でも子供のつもりで見てみると、やっぱり面白いはずなんですよね。思い出の球が収納されるギミックはピタゴラスイッチやコリントゲームを思わせる作りだし、弾きだされた二人が司令部に辿りつこうとする様は冒険譚そのもの。その道中もアクションありファンタジーありギャグ満載で、退屈する暇もない。
勿論、子供が見ても分からないだろうなというところもある。深層心理に辿り着くところや両親の心の動き、要らなくなった思い出はどんどん処分していくところなんて大人じゃないと分からない。でも大人は身につまされる事柄ばかり。

そして、映画的ギミックもある。主人公が見る夢は頭の中のスタッフがドラマのように撮影していることになっているという映画内映画になってるし、危険な場所に迷い込んだ「感情」たちが陥るトラブルは粗いポリゴンになってしまうこと、2次元になってしまうことというアニメーションの概念が分かってなかったら楽しめないことになっている。もう盛り沢山過ぎる内容。

キャラクターの造形も愛らしいんですよね。5人の「感情」は肌が毛羽立ってる質感なんですけど、フェルトで出来た人形みたいなんですよ。人形アニメっぽい。怖いものを閉じ込めておく場所にいた大きなピエロはアードマン作品っぽい顔立ちなんだけどそれは深読みが過ぎるか。でもそうであって欲しい。サブキャラ、モブキャラみんな可愛い。そして彼等の繰り出すギャグがいちいち可笑しい。ギャグ映画だといっても良い。
全編CGのアニメーションなんてもう珍しくもないけど、そのキャラクターの動き、空間の広がり、始終心が浮き立つようなその色合い、完璧だと思います。

そしてストーリーが。泣かす。家族、友達、土地に纏わる思い出というものの有り方が描かれて、もうそこが泣ける。未来より思い出の方が多くなってしまった大人だから泣ける。卑怯でしょうピクサー。なおかつ人の頭の中、心理というものをこんなファンタジーにして語ってしまうなんて凄すぎる。

最高だと思います。

 

 

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