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Asian Meeting Festival 2016

音楽 ノイズ

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昨年に続いて行われたアジアの雑音、即興、実験、電子音楽家たちの共演。
出演者は

大友良英(日本)総合監督/ギター
・dj sniff(香港)香港在だが日本人/キューレーター/ターンテーブル
・ユエン・チーワイ(シンガポール)キューレーター/エレクトロニクス、ギター
・オッキョン・リー(ニューヨーク)米国在だが韓国出身/チェロ
・スキップ・スキップ・バンバン(台湾)ギター
・フィオナ・リー(香港)電磁コイル、モジュラーシンセ
・ソンX(ベトナムベトナムのパーカッション
・ピートTR(タイ)ケーン(竹の筒を組み合わせた民族楽器)
・ナタリー・アレクサンドラ・ツェー(シンガポール)古箏(中国の琴)
・ヨン・ヤンセン(マレーシア)サックス
・クリスナ・ウィディアタマ(インドネシア)エレクトロニクス・ノイズ

ここに日本の音楽家がゲストとして加わって即興演奏を繰り広げます。観客は元より当の音楽家たちもお互いをあまり知らないという目眩のしそうなライブで、東京で3日間、関西で3日間のライブ、他にはトークセッションや映画上映もあるというまさにフェスティバルなのです。

2月3日 大友良英のJAMJAM TV@DOMMUNE

インターネット・ストリーミングの番組。フェス開催直前に大友良英、dj sniff、ユエン・チーワイの出演で今回の出演者を動画、音源で個々に紹介すると共に大城真とSKIP SKIP BEN BENの生ライブを披露という内容。各ミュージシャンがどんな人なのかを知るのにとてもよく分かる内容だった。

ユエン・チーワイが各地でイケメンと言われるのが腹立たしいと語るdj sniffが可笑しい。

2月6日 Live from Red Bull Studios Tokyo@DOMMUNE

ASIAN MEETING FESTIVAL|LIVE from Red Bull Studios Tokyo | Red Bull Studios Tokyo

各アーティストのソロ演奏をスタジオから生中継するという内容。昨年のフェスではソロは見られなかったのでとても嬉しい企画。ノイズ好きなのでクリスナ・ウィディアタマが見たかった。
各々の演奏がリレー形式で繋がれて行き、その場面では少しの間だけツインのセッションが見られるという形式で、ウディアタマから大友良英にリレーされ、ウディアタマが退いたと思ったら再登場してセッションになった場面では大友良英がニヤリとして、見ているこっちもいいぞもっとやれ!という感じだった。twtterによるとあれは大友の演奏が始まってウディアタマが切り上げたのをもっとやって来いと押し戻したという場面だったらしい。そうだったのかー。

ユエン・チーワイが各国語を喋れるのでとても人気者だということを羨ましがるdj sniffが可笑しい。

 

2月10日 『Y/OUR MUSIC』@立誠シネマ

フェスの企画でアジアの音楽映画を上映するもの。京都の立誠シネマで観賞。
初めて行く映画館だったので「チケットとはどこで買うの?」とキョロキョロしてたら同じようにしている外国人が。と、思ったらウィディアタマさんではないの。思わず声を掛けてしまったけど英語が話せるわけもなく「I'm noise music fan」とだけ伝えて逃走。ロビーに辿りつくとフェスの他の出演者もいた。ヨン・ヤンセン黒社会の人と言われても信じてしまいそうな風格。

映画の感想文はこれ↓
Y/OUR MUSIC - 8月~12月
上映後はトークと質疑応答。こういう場所で質問をする人ってやっぱりしっかりしてるなと感心。

その後ピートTRのソロ演奏。エフェクターを使ったケーン(竹の筒を組み合わせた民族楽器)の演奏で、ケーンはモーラムのCDで聴いたことがあったけれど実際に聴くのは初めて。シンセサイザーのような音色で、雅楽で使われる笙(しょう)と似た音色だと思った。こういうのもどこかで繋がっているのだろうなと思う。しかし日本の雅楽の人がエレクトロニクスを併用して演奏したりする人いるのだろうか。タイの方が進んでるんではないだろうか。

帰宅後、ピートTRのFaceBookを見てみるとコンビニ(?)でセクシーな雑誌を手に取ってみてる写真があった。タイではあーいうのないのかしら。同じような写真がナタリー・アレクサンドラ・ツェーのFBにも。可笑しい。

 

2月12日 Live@京都METRO

いよいよライブを見てきました。3人づつの組で5セットの演奏が行われました。

大友良英+Son X+ピートTR
ギター+ベトナムの太鼓+ケーンという組み合わせ。大友良英のギターはノイジーなギターではなく小さなリフを奏でるような演奏で、Son Xの太鼓の音が呪術的な雰囲気を与えていた。ピートTRは終盤、ボイスパフォーマンスに移り、このパートは完全に歌になっていた。演奏前に打ち合わせをどれくらいするのかしないのか分からないが即興であんな風に歌が生まれるのだろうか。恐るべし。

■ナタリー・アレクサンドラ・ツェー+dj sniff+吉田ヤスシ
琴+ターンテーブル+ボイスという組み合わせ。dj sniffの出すビートが重低音で響いて気持ち良い。これはクラブという環境ならでは。ナターリーの琴の音は埋もれずよく響いて、そしてdj sniffの出す奇妙といっていいビートと意外にも相性がよい。しかしあのdj sniffの変則的な音によく合わせられるものだな。それでも吉田ヤスシの声が響くとボーカルとバックという感じになる。人間の声の存在感は圧倒的に大きいと思う。

■フィオナ・リー+スキップスキップバンバン+和田晋侍
電磁コイル/モジュラーシンセ+アコースティックギター+ドラム
スキップバンバンのアコギとドラムが主導するような形。バンバンはとても繊細な面を見せる演奏で和田晋侍のドラムはアコギに寄り添うようでいて、時に煽るようで凄いんじゃないでしょうか。この人は「巨人ゆえにデカイ」ってバンドの人で前見た時はそんなに印象的ではなかったけど今日は凄く印象に残った。フィオナは機材と格闘しているような様子だったが、終盤、電球をふり回すというアクションで爆発。

■クリスナ・ウィディアタマ+ユエン・チーワイ+毛利桂
エレクトロニクス×3の一番ノイジーなセットで怒涛のノイズ攻撃。こういうのが一番好き。押したり引いたりといううねりもあるが基本的に押しまくるというアグレッシブなノイズ波状攻撃で爆音そのもの。これは他所では見れなかったんじゃないだろか。文句なし。

■ヨン・ヤンセン+オッキュン・リー+村里杏
サックス+チェロ+ドラムというフリージャズ的編成。とか言ってフリージャズってあんまり知らないので、こういうのがフリージャズなんだろうなという感じで見てたのですが、ヤンセンのサックスも格好良かったがオッキュン・リーの存在感に圧倒された。これが即興の技巧というものだろうか。終始オッキュンに目が釘付けになってしまった。凄い。

全員での合奏というノイズ・オーケストラみたいなのも見たかったけれど、プログラムなので仕様がないですね。前日の立誠小学校でのライブも行けば良かった。でも、クラブでの開催ということで大音量かつ重低音が体にビシビシくるという音響効果は充分に堪能したのでメトロで見て良かったと思う。このフェスは開催日によってセットも違うみたいだし、何より即興演奏だから日によって内容も違うのだから行ける日は行っとけってことだな。来年はそうしよう。


まとめ

1週間に渡って楽しませて貰いました。楽しみつつも即興演奏の良し悪しってなんなのだろうなということを考えました。
自分は恥ずかしながら即興演奏の良し悪しを語る言葉を持っていない。プレイヤーであれば言語化できたり技巧というものも分かるのかも知れないが、生憎リスナーでしかないのでその辺は分からない。でも良いと思うものはあるしピンとこないものもある。
オッキュン・リーを見て思ったけど、演奏の技巧みたいなものは分からないけれど圧倒的に感じる何かはあるんですよね。彼女のCDを聴いて音だけでも同じことを感じられるかどうかは分からないけれど、ライブを見て本当に凄いと思った。演奏の技巧なのか人間力なのか演奏者としての格なのかは分からない。けど何かを感じて圧倒された。その何かってなんなのだろうと思うけれど分からない。何なんでしょうか。

もう一つは音楽の本質とは関係ないし妄想なのだけど、このフェスにはそこに連帯が生まれるドラマが垣間見えるのです。
dj sniffや大友良英twitterで発信する情報は音楽家として演奏が良かったということであって、友情が芽生えているというようなクサイことは言わない。でもそのtweetを追う内に彼らに連帯感が生まれていっているのを想像してしまう。

映画で集団犯罪ものってあるでしょう?一匹狼のキャラクターが集まって、最初はお互いを信用していない、反目しあっているというところから始まって、それぞれが自分の仕事を確実にこなしていくことで次第にチームワーク、信頼関係が生まれてくるというドラマ。あれに近いものを感じるんですよね。
アジアの各地から集まったお互いを知らない、その専門領域も違う音楽家達がそれぞれの実力を発揮することで調和が生まれて新しい音楽が生まれてお互いを認め合うという。

昨年のAMF2015のあと、彼らの打ち上げの動画がFaceBookにあがっていて、それはイマン・ジンボットが飲み物の瓶を箸で打ち鳴らしているという即興だったのだけれど、それを出演者たちが笑って見ているという光景がとても微笑ましかった。俺は演奏を聴いて彼等が好きになったしその彼等が笑顔で交流しているという場面を見て、とてもほっこりした。

なので今年のフェスでもFlickrにアップされた、出演者達が笑顔で集合している写真や、映画の上映会にいたヨン・ヤンセンとソンXが言葉を交わしていた情景、演奏後喜び合うオッキュン・リーとユエン・チーワイの姿なんかを見るととても微笑ましい。

そんな連帯感は妄想かも知れないし、音楽の評価とは全く別次元のものではあるけれどアジアン・ミーティング・フェスにはそんなドラマをも想像させる魅力があるのだと思っています。