殷-中国史最古の王朝/落合淳思 著

中国の古代王朝、殷の姿を甲骨文字から読み解く歴史の本

殷 - 中国史最古の王朝 (中公新書)

殷 - 中国史最古の王朝 (中公新書)

 

 少し前に中国の歴史小説を読んで、少し関心が湧いたので読んでみました。

殷は紀元前十六世紀から紀元前十一世紀に存在した中国の古代王朝です。その国の中では王が占いで軍事や政策を決定し、自然神を崇拝する宗教儀式も行われていたということが書かれています。
遺跡から、城壁で囲まれた都もあることが分かっていたり、青銅器の技術が進んでいたことなど、紀元前十数世紀の文明というものが、自分が思っていたのよりもずっと進んだものだというのが分かって驚きました。凄いです。

面白かったのは動物の骨を焼いて、そのひび割れによって占いをする甲骨占により軍事遠征の可否を占ったりするのですが、骨に細工がしてあって、望んでいる結果が出るようにしてあったということ。云わばいかさまなんですけど、三千年以上前の人間でも賢い人間はいるのだな、とちょっと笑ってしまいました。

殷も周辺の国(部族?)と戦争をしたりしていて、その国にも歴史があるのだろうかとか、そもそも甲骨文字というものの前はどんな字だったのかとか、その当時の人間の会話はどんな言葉だったのだろうかとか、歴史って関心が湧くと面白いです。

以前、奈良の興福寺の博物館で青銅器の展示を見て感心した覚えがあるのだけど、ちゃんと見とくんだった。もう一回見に行きたくなりました。