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インセプション

2010年、米国、クリストファー・ノーラン監督作
夢に侵入して秘密を盗みだすという非合法な稼業の主人公に与えられた新たな仕事は競合会社の次代の経営者に負のイメージを植え付けることだった。

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映画を観てどんなところに共感したり感動したりするかは人それぞれ。同じ映画を観ても感じるところは違うものだし、その人の経験や物の考え方、観るタイミングにもよると思う。だから映画の見方、感想は人それぞれであって正解というようなものはない。

インセプション』を観た頃の自分は鬱で最低の時期だった。正確に言えば最低のところからこのままではいけないという気持ちが湧いてきた頃。元々好きだったことから始めようと思ってそれが映画だったけれど、パニック障害もあって暗闇で2時間大音量の中耐えられるのかという不安もあり発作が起きた時の為にとんぷく薬を握りしめて映画館の座席に座ったのを覚えている。

劇中でディカプリオが演じる主人公は夢の夢の夢、虚無に落ちる。これは自分だと思った。鬱と抗精神薬でぼんやりした意識の中でなんとかそこから抜け出そうとしてもがいている自分だと思えた。映画館で、ただただ泣いていたように思う。

今改めて観るとアクションや特殊撮影の凄さに目を見張る。それと共にその複雑な構成の物語をねじ伏せてみせる力量に感心する。初見ではよく分かってない部分もあったけど随分整理して観ることが出来た。
そして俳優陣の充実ぶりが素晴らしい。こういう集団犯罪ものは相棒達が魅力的だと映えるわけで、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット、トム・ハーディエレン・ペイジが最高です。トム・ハーディなんて本作出演時は30代前半だろうけど頼りになるおっさんにしか見えない。
アクション活劇として面白いし、夢と現実が交錯して独特のイメージを作り上げていてSF映画としても滋味深い。

それでもやはりこの映画を観ればあの頃を思い出す。鬱の時のことなんて誰にも話さない。誰かが分かってくれるなんて思わない。SF映画を観て泣く奴はおかしいかも知れないが、夢のように朦朧とした場所からもがき抜け出そうとしていた自分を重ねて泣けてしまう。自分にとってはそんな映画です。

 

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