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アウトサイダー・アート入門/椹木野衣 著

 

 アウトサイダー・アートとは芸術家でない人の作品に芸術的価値が認められたもの、ということでいいんじゃないかと思う。ただ本書を読むと芸術家として活動した人まで含めているのでその定義は揺らいでいるのかも。

ヘンリー・ダーガーが好きなのがきっかけでアウトサイダー・アートというものに興味を持ちました。ダーガーについても本書で紹介されています。どこかのまとめなど見ると面白いかと思います。
ダー ガーを知って、自分の楽しみ、慰めの為に絵を描いていいのだということが分かりました。絵というものは完成させて誰かに見せなければいけないものだという 固定観念がありましたが、自分の為に描いていいのだと分かってからは落書きめいたものを描いています。勿論、人の評価を得られるのは素晴らしいことだと思 います。

芸術作品というものは、その作品を見て感情が湧き起こればそれでいいのであって、作者の人生や作品が生まれた背景は二の次だと 思ってる。だから高名な作家だとか、どんな賞を貰ったとか、苦難の人生があったとか、そういうことは基本的には関係ない。興味を持てばその背景についての 知識を得れば良いし、知識を得れば作品に対する見方も深まる。こんなことを言うと知識を否定しているようだけど、何も知らずに出会うという感性一発勝負は 一回しか出来ないことなので、それはそれで大切にした方が良いように思う。とはいえ、展覧会などは誰かの評価があるからこそ開かれるわけで、何も知らずに 作品と接するということは難しい。というか不可能。
アウトサイダー・アートで言えば権威みたいなものとは無縁なので、そういうのを除外した時に作品をちゃんと評価出来るかということが問われているようにも思う。

もしも普通の何も特別でない人生だった人が自分の為に描いた絵がその価値を認められたらそれはアウトサイダーなのかとも思う。ダーガーの場合はこれに近い。ただ苦難の人生を送っていると言う意味では少し違うけど。

そう思うとアウトサイダーとは誰なのか、美術家とは誰なのか、アンダーグラウンドとは、オーバーグラウンドとは、等々色んなことを考える。とても面白いです。