イマユラ/山本精一 著

ギタリスト、山本精一の随筆集。山本精一さんは、ギタリストで現ROVO他、元ボアダムズのギターの人です。大音楽家という呼称で良いと思う。

イマユラ (ele-king books)

イマユラ (ele-king books)

 

 小 説でも随筆でも文章によって表現されたものには、それぞれに空気感があってムードと言い換えても良いかもしれないけれど、確かにそんなものがある。町田康中原昌也なんかは独特だし、村上春樹東野圭吾なんかにもあるんだと思う。文章を連ねるということはこの空気感を創出する為にあるのかも知れないとさえ 思う。

山本精一の文章が作りだす空気感はこれまた独特で、何だか妙。関西在住の方で、聴こうと思えばその音楽は聴けるし、ライブに行けば 演奏も目にすることが出来る。まごうことなき近くにいる現代の人なのだけど、どこか異次元の人のよう。時空の隣にある平行世界のような空気。地球軌道の反 対側にある反地球のようなムード。特異な文章ってわけでもないし、特段変わった出来事を綴っているわけでもないけれど、視点がずれ、言葉がずれ、思考がず れて少しづつ歪んだ世界が醸し出されていく。
凄く面白い。