美しく、狂おしく 岩下志麻の女優道/春日太一 著

岩下志麻さんにインタビューし、過去の出演作からその女優としての経歴をひもとく一冊。 

美しく、狂おしく 岩下志麻の女優道

美しく、狂おしく 岩下志麻の女優道

 

 

「好きな女優さんは?」と訊かれたら
「若い頃の岩下志麻さん」と答えるようにしています。

昔の日本映画を観るのがマイブームだったころがあって、その頃に小津安二郎監督作の『秋刀魚の味』という作品を観たのです。岩下志麻さんは笠置衆の娘の役で、彼女の結婚を世話するという家族劇だったのだけど、その可憐さに魅了されてしまった。もうその頃は『極道の妻たち』に出演していた時期で、あの人の若い頃はこんなだったのかという驚きもあった。
この画像を見てもらえればその魅力は伝わると思うのです。

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誰しもが認める美貌だと思うのだけれど。

その後、中村登監督作の『古都』では生き別れた双子の二役を演じたり、野村芳太郎監督作の『疑惑』では弁護士役で桃井かおりと対決したりと、その容姿以外、女優としての実力の部分でも好きな女優さんになりました。

本書を読むと彼女の役作りというのは、その役(人物)の心理状況を考察して内面から演じるというものらしい。
この女性はなぜこのような行動にでたのか、その時の心理状況は、元々どんな人物なのかということを想像して役になりきる。なので映画の中で役を演じているとその役が乗り移ったようになって実生活でもその役がでてしまい、撮影終了後もしばらくその役が抜けないらしい。
若い頃は精神科の医師になりたかったというで、そういう性格、心理についての研究に関心があるからできることなのだろう。

また、夫である篠田正浩監督と独立プロを立ち上げた時の苦労なども語られていて、ただの美貌だけの女優さんではないという印象を決定付けた一冊だった。ますます岩下志麻という女優さんのことが好きになりました。

そして著者は、この長い経歴を持つ女優さんの出演作をすべて研究してインタビューに臨んでいるわけで、その準備作業の膨大さを思うと途方に暮れる。女優の魅力を引き出すという意味でこの著者も凄いと思ったのでした。

レディ・プレイヤー・ワン

2018年、米国、スティーブン・スピルバーグ監督作

近未来、世の中は停滞し、人々はそんな現実世界から逃避して仮想現実空間である『オアシス』に耽っていた。しかし亡くなった『オアシス』の創設者が遺産と、この世界の運営権を仮想空間のどこかに隠したと宣言したことから人々は宝探しに奔走することとなる。

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スピルバーグ作品としては『1941』以来の大作バカ映画だと思う。

ジョン・ベルーシが出演した『1941』は太平洋戦争前夜のアメリカに日本の潜水艦が近づいてくることによって引き起こされるバカ騒ぎのコメディー映画だった。
スピルバーグ自身はこの映画があまり気に入っていないらしいが、俺はこの映画が好きだ。バカらしいから。

『レディ・プレイヤー・ワン』はそのバカ騒ぎがVR世界の中で行われる。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアンキングコングアイアン・ジャイアントバットマンロボコップガンダムメカゴジラ、アキラの金田バイク、そんな懐かしのキャラやアイテムが次々に登場する。その映像はCGを駆使していて縦横無尽に移動する視点(カメラ)で描かれる。何もかもやり過ぎだと思う。
でもこのやり過ぎ感がバカ騒ぎであり面白さなのだと思う。
登場人物が「俺はガンダムでいく」と宣言しガンダムに変身する場面は本当にバカらしい。悪役がメカゴジラに変身する場面も同様。バカらしさにバカらしさを重ねてやり過ぎ感を増幅させていく。

そしてそれがすべってる。それは『1941』も同じ。真面目で冗談なんか言わない男が存分にふざけてはみたものの周囲の人間はひいてしまうような感じ。

『1941』はスピルバーグの初期作で、もう十分ヒットメーカーとしての名前は獲得していたと思うが、それでも若気の至りの可愛い気があった。何より役者が演じるというフィジカルさがあった。
でも本作の悪ふざけは存分に金と技術を投入した金持ちの悪ふざけにしか見えない。

隠された宝物を主人公が見つけるハッピーエンド。そして教訓的な主題も、仮想空間でいくら充実していても駄目で現実でリアルな行動によって獲得するものが大事でしょ?というありきたりのもの。なんだかなあと思う。

過去のサブカル・アイコンが登場したことを喜んでいる人もいるのだろうが、そんなのノスタルジーでしょ?過去を懐かしむという感情を否定はしないが、そんな釣り針に喜んで食いつくような人間にはなりたくない。ノスタルジーを刺激されて無邪気に喜んでいるのなんて自分が老いた人間だと証明しているようなものだ。
そしてそれらが世界のスピルバーグ映画に登場することで、オタクのみなさん、あなたたちが愛したものは決してくだらないものなんんかではなく世界のスピルバーグも認めているものんなんですよ、って感じ。でもそんなの権威主義ですやん。
オタクの人って「アニメは世界的に認められている」とか「著名な映画監督も日本アニメのファンだ」とか言いたがるけどそれが何なん?それって権威主義じゃないの?
その心の裏には「僕たちが好きなものは決してくだらないものじゃない」みたいな気持ちが透けて見える。それは「アニメなんてくだらないもの」と言われてきた反動なのだろうけれどそれってなんだかなと思う。
くだらないものでもいいやん。自分が好きなら。他人に「あなたたちが好きなものは決してくだらないものなどではないんですよ」と言って欲しいの?認められたいの?そんな必要ないでしょう。この軟弱者!

シェイプ・オブ・ウォーター

2018年、米国、ギレルモ・デル・トロ監督作

科学研究所で掃除婦として働く主人公の女性は、秘密の研究施設で半魚人が囚われていることを知る。声を発することができない彼女は、身ぶり手ぶりでその半魚人と交流を持つことになりやがて好意を抱くようになる。しかし研究施設の幹部たちはその半魚人を抹殺しようとする。

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本作はアカデミー賞で様々な賞を獲得したらしい。

しかしのれなかった。映画のリズムというかノリについていけなかった。なぜなのか自分でもよく分からない。

言葉を発することができない主人公、そして囚われのモンスターというマイノリティの抵抗のお話という主題は嫌いではない。というか好きな部類。

時代設定も60年代のアメリカでそのノスタルジックな光景は良い味をだしてる。

そして美男と美女ではなくモンスターと決して美しいとは言えない普通の女性の恋愛というものも悪くない。

しかし映画を観ている間どうしても映画のリズムにのれなかった。それほど面白いと思えず感情移入もできなかった。なぜなのか分からない。体調だろうか。本当になぜ面白いと思えなかったのかが分からない。謎です。

主演のサリー・ホーキンスPJ Harvey に似てるなとちょっと思った。

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